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歳内、16K完投&サヨナラ打!聖光学院、福島に白星届けた!

 球児の夏が開幕。いきなり熱戦が繰り広げられた。東北勢初Vの期待がかかる聖光学院(福島)は、ドラフト候補右腕・歳内宏明が日南学園(宮崎)戦で、10回を10安打4失点ながら16三振を奪い完投勝ち。5回までに3点を先取され、1点リードの9回には振り逃げで同点とされる苦しい展開も、10回1死二塁から、自らサヨナラ安打。東日本大震災、そして福島第1原発事故に苦しむ地元にまずは1勝を届けた。
 頂点へとつながる扉をバットでこじ開けた。延長10回。1死二塁の好機で歳内の打球が右前に抜けた。二塁走者の生還を見届けると、「ホッとした」と拳を握った。甲子園の魔物にのみ込まれかけた試合に、自らのサヨナラ打でケリをつけた。

 3回2死一、二塁。打ち取ったはずの当たりが浜風に流される。左翼手が捕れずに(記録は二塁打)2点を献上してしまった。何とか逆転に成功し迎えた9回2死。スプリットで空振り三振を奪ったが、福田が捕球できずに振り逃げで同点とされた。勝利が手元からこぼれそうな場面は何度もあった。

 それでも、気持ちは切れなかった。9回の振り逃げは「コースが悪かった。自分の責任」ときっぱり。バッテリーを組む福田は、3度の打撃妨害で走者を出したが「それだけ気持ちが前に出ていたということ。逆に頼もしかった」と発奮材料に変えた。ピンチの連続ながら、自己最速タイ145キロの直球と宝刀のスプリットを武器に16K。県大会、34回2/3で60三振を奪った“福島のドクターK”の面目躍如だ。

 震災と野球は「結びつけたくない」と言う。しかし、本心は違う。3月上旬から3か月間だけ主将を務めたが、震災に見舞われたのは、その就任直後のこと。地元が暗く沈む中、チームを引っ張る主将の姿勢が問われていた。

 「『震災を背負う。元気を与える』という言葉は、どのチームからも出ていた。でも言葉だけでは何もできない」。ナインに訴えたのは、自分自身を見つめ直すということだった。「がさつな人間ぞろいなので」(小沢宏明主将)という寮は、散らかり放題。机と部屋を整理させ身の回りのゴミ拾いも徹底した。もちろん、これは小さなきっかけに過ぎない。歳内は言う。「一人の人間としてしっかりすることが大事と思った。私生活や学校生活の姿勢をもっと考えないと、元気なんて与えられない」。エースが「試合の中では(震災を)意識しなかった」と言い切るのも、ここまでの過程に自信があるからだ。

 本気で頂点だけを目指してきた。だから「最初にこういう試合ができたのは本当に大きい」と苦戦を前向きにとらえられる。「勝ったから(被災者を)勇気づけられるとは思わないけど、勝ち続けないと誰かに(戦う姿勢を)伝える作業が終わってしまう。日本一になります」。最後まで負けられない。

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年7月19日、兵庫・尼崎市生まれ。18歳。小3から投手として野球を始め、小園中時代は楽天・田中らを輩出した宝塚ボーイズに所属。高校では1年秋からベンチ入りし、エースとなった2年夏はスプリットを武器に甲子園8強。昨秋は東北大会準々決勝で敗れ、今春のセンバツ出場は逃した。182センチ、82キロ。右投右打。
(報知)
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